恋愛結婚

前の話とは関係ないけど、最近読んだ面白い本。

山田昌弘「少子社会日本」

少子化と未婚化の過程を社会情勢の変化と、恋愛結婚の状況から見事に考察した、山田昌弘の集大成的な本に仕上がっている。これが俺の言いたかったことだと、思った俺はたぶん信奉者になってるんだろう。

少子化の話は、まぁ社会的なことだから、個人的にはどうでもいいと思うんだけど、自分が結婚できるかどうかは、非常に重要やし。結婚が幸せかどうかなんてわかんないけど、男女の9割以上が結婚したいと思っているのに、結婚できる人は6割程度っていう状況は非常にまずいと思う。

著者は未婚化の原因を産業構造の変化と、パラサイトシングル現象の交互作用と捉えていている。今までの、結婚する時の条件として「今の家庭の経済的状況<結婚後もしくは結婚した数年後の家庭の経済的状況」(具体的には豊かさ)とならないと結婚しないという傾向があった。ところが、若者の労働条件が悪くなり、先の無い仕事しか出来ない人は対象からはずれ、パラサイトシングル現象は女性の結婚前の経済状況を高めるためにさらに結婚に踏み切りにくくなってしまったと分析している。欧米の場合は、パラサイトが文化的に許されないために、結婚前の経済状況が悪くなるため、未婚化が進んでいないらしい。統計データを読むことが中心なので、突っ込みどころはあるのだが、説得力のある内容となっている。

掲載されていたデータ中には、男は所得の高い人の方が結婚する率が高い、っていうのもあって、確かに性別役割分担制っていう文化的背景があるとは思うが、それにしてもなんだかなぁと思ったりする。

途中に、恋愛結婚の変化という章もあって、恋愛と結婚の系譜が面白かった。まえから、話の種にはしてきたことなんだけど、恋愛結婚の始まった当時、1960年代の内容っていうのは恐ろしく純粋なんだよ。しかも付き合ったら大体その人と結婚するっていう前提だったから、あれだけ恋愛結婚が多かったんだよ。まぁそれから、恋愛結婚の拡大と、普遍化次第に恋愛格差の社会が来たんだそうだ。この部分は、うちらの世代はあまり知らない話だと思うけど。

この恋愛格差社会の中で、俺らは戦わなきゃならないんだけどね。